資金調達のポイント

①自己資金はいくら用意すればよいのか

投資計画の組み立てによって相違がありますが、総投資額の10~20%が目安となります。

日本政策金融公庫、各市町村の制度融資を活用しようとする場合は、さらにハードルが上がる可能性もあります。

ただし、銀行等の金融機関によっては、自己資金が僅少でも、融資が実行される場合もあります。

① 事業計画の収支予測に信憑性がある。

② 先生が既に患者を確保している。

③ 自己資金が少ない正当な理由を証明できる。

④ 担保資産の価値が高い。

⑤ 有力な保証人がいる。

など、銀行独自に組み立ててくれるため、まずは相談から始める事になります。

相談にあたっては、開業の趣意書、事業計画書、担保提供物、保証人などを検討しておくと、交渉がスムーズに進行します。

② 金融機関との融資交渉の流れ

(1)交渉のポイント

  融資交渉

土地などの契約予定日なども考慮して、金融機関の検討期間を短くなるよう依頼

  本交渉

必要資料(事業計画書、医師経歴書、保証人の経歴書、担保提供物件の謄本、図面など)を金融機関に提供

  貸出条件の優先順位(金利の低さ、返済年数)を明確化

⇒ 基本的に「長期の返済期間」で「低金利」

(2)融資交渉の流れ
先生の動き 銀行の動き

 物件探索開始
  ↓
 物件が出て来た段階
  ↓
 物件契約
 (特約を付け、融資不実行の際は白紙に戻す)
  ↓
 土地代金決済
 (土地に関しては融資実行が遅れますので、決済日に余裕を持たすことが大切です)
  ↓
 建物工事着手
  ↓
 工事完了
  ↓
 開業 

 事前交渉開始
  ↓(打診)
 資料をそろえ仮申請
  ↓
 (内諾をもらう)
  ↓本資料申請
  ↓
  ↓
 融資実行
  一部土地代金
  ↓
  ↓
  ↓
 建物工事着手時融資
  ↓(中間支払もある)
 開業前に全ての融資が完了する

(3)資金調達の完了

金融機関の融資終了後、リース機関によるリース契約締結して資金調達が完了

⇒  リース料の支払い開始を保険請求収入の入金システムに合わせて、開業後3ヶ月目から実施する契約形態もある

金融に関する基礎知識

(1)金融機関の種類

医療機関の融資にかかわる金融機関

「福祉医療機構、日本政策金融公庫の公的融資機関」

「都市銀行、地方銀行、信用金庫、信用組合などの融資機関」

「リース会社などのノンバンク系融資機関」

 その他「都道府県及び各市町村の斡旋融資」「医師信用組合の斡旋融資」など

⇒ 投資計画に応じ、どの融資機関、方法を選定するか慎重に検討

(2)返済期間の区分

「運転資金」「設備資金」など資金の種類によって返済年数を決定

■ 運転資金 :5年以内の短期返済

■ 設備資金 :5年超(※)の長期返済

  ※7年、10年、15年が平均的、土地・建物などは15年~20年
 

住宅併用診療所の場合は、住宅ローンの適用を受けることも可能

(3)返済方法の種類

①  元金均等返済方式

 借入総額を返済年数で均等に割り毎月返済する方法であり、金利は残高に対して課される

  残高が確実に減少し返済総額は少なくなるが、毎月の返済額が多額

②  元利均等返済方式

返済年数の期間の金利をアドオンで計算し、これと元金を合計し返済年数で割り毎月返済する

  毎月の返済は少ないも返済総額は多くなり、かつ利息支払割合が高い

(4)金利の種類

 短期金利

1年以内の借入に使われ、短期プライムレートを基準に設定。

  長期金利

 1年超の借入に使われ、短期プライムレートを基準に一定の利率を上乗せする方式で金利を決めている。これを新長期プライムレートという。
 

  融資期間中の利率を変更しない「固定金利」と貸出金利の相場変動に応じて利率を見直す『変動金利』を、将来の金融情勢を勘案して使い分ける

(5)保証人の考え方

  公的融資機関

第三者の保証を要求してくるのが通常

第三者保証人の条件 ⇒  事業主、給与所得者を問わず、安定収入と 十分な資産などを所有しているケースに限定

  一般の金融機関

法定相続人である奥様のみを保証人とする形態が通常

  保証人の形態

保証に限度を設ける「限定根保証人」

一つの融資の全体を保証する「連帯保証人」

将来受ける融資の一切を保証する「根保証」

このほかに、信用保証協会で保証してもらう『信用保証制度』がある。

(6)抵当権の設定

抵当権と根抵当権

通常の融資は『根抵当権』が設定される。『根抵当権』は極度額設定

 範囲内であれば、融資が何度でも可能となる。物件の評価額の範囲で設定され、概ね設定額の0.4%が抵当権設定費用となる

 
(7)返済据置き期間

融資返済の元金分の支払いを据置くことが可能

⇒ 据置き期間:通常6ヶ月から1年程度

  投資額が多額になる場合には2年まで認めてくれる場合もある

公的融資制度を活用する

(1)福祉医療機構

過疎医療地域の病院診療所等を対象として、「事業団の直接融資」と「各金融機関の代理貸付」の2つの方法がある。代理貸付は金融機関の了承が必要で、かつ融資までの承認期間(時間)がかかるため、金融機関からのつなぎ融資が必要。

資金は、設備資金と運転資金に区分けされ、それぞれ融資条件が異なっている。

 新築資金は10年経過後に金利見直しとする制度も選択できる。

 設備資金:建設費の80%限度 返済期限15年以内 

 運転資金:2,500万円以内   返済期限 5年以内

 ※ 3ヶ月ごとの返済になるため、返済資金の準備の平準化はできないが、固定金利であり、煩雑な融資資料の準備を見込んでもメリットがある。

融資対象はあくまで医療を行うものに限定されており、医療法人化時に医師から土地・建物を賃貸する場合、医師は個人の不動産賃貸業と位置づけられ、当初医師が借入していた機構の資金は返還を要求されるため、金融機関がこの融資を引き受ける必要性が生じてくるので留意が必要。

 
(2)日本政策金融公庫

承認手続に時間を要するため、早い段階での申請が必要
 

【融資条件】

■ 設備資金

7,200万円以内(他に特別融資がある)

返済期限15年以内
 

■ 運転資金: 4,800万円以内

返済期限5年以内(特別な場合7年)

 

固定金利、および低金利がメリットながら、条件が厳しく(自己資金の準備、担保、第三者保証人)あらかじめ留意する。

(3)地方自治体制度融資

地方自治体が融資の金利補助を行うものであり、金融機関が融資の整合性を判断した結果、地方自治体からの融資斡旋所を取り付け、融資が実行となるシステム。

融資斡旋条件は各地方自治体によって異なるので、事前に情報を入手する。

担保や保証協会の保証が必要になる場合もある。

 

【融資条件】例)

■ 融資金額:2,000万円から2,500万円

■ 返済期間:設備資金 10年以内

■ 運転資金:5年以内

(4)医師会提携融資

医師協同組合が融資斡旋を行い、金融機関が融資を実行するシステム

保証協会の保証が前提であり、医師会入会が条件であるので、入会手続終了後に斡旋書が発行されることに留意する。

 

【融資条件】

■ 融資金額:担保評価範囲内

■ 返済期間:設備・運転資金 5~15年以内

(5)住宅金融支援機構(旧 住宅金融公庫)

医院併用住宅を建築する場合、住宅金融支援機構の融資を受けられる場合があるので、相談している金融機関に問い合わせる。

 

【融資条件】

■ 面  積:70㎡以上

■ 融資期間:最長35年

※資金額の算定、支払い方法など種々条件が異なるので十分な検討が必要。

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