医院やクリニックの開業の形態には、従来の他にもさまざまなバリエーションがあります。
診療内容や自己資金の状況、メリット・デメリットを考え、最も適切な開業形態を選択する必要があります。
【従来の開業形態】
戸建て開業 テナント開業
【現在の開業パターン】
「単独型」開業(戸建・賃貸)
「店舗近接型」開業(テナント含)
「モール型」開業(集合形式)
■ メリット
■ デメリット
■ 想定される問題
⇒「契約期間を明確にする」、「地目等による制限の有無」を確認する
⇒不動産情報では僅少条件、現実には地主と個別に交渉(銀行の関係者もしくは不動産業者に依頼)
⇒農業委員会に対して農地からの転換請求を行う必要
地主が医院建物を建築し、これを賃貸するという方式
■ メリット
■ デメリット
メディカルモールや医療ゾーンなどによる集合型の開業形態
■ メリット
⇒円滑なコミュニケーションを図り、より質の高いサービスを提供できる
■ デメリット
① (ビルテナントを選定する場合)
「ビルの所在地が地域で認知度の高い場所であるか」
「そのビル自体が高い知名度を持っているか」
② 周辺環境、ほかテナントの業種確認
医療サービス提供施設の周辺環境としての適切性 (例:消費者金融、風俗営業)
③ 医療機関の広報活動に致命的な制限の有無 (例:看板禁止等)
④ (大型の医療機器を搬入する場合)
建物に重量制限がない
⑤ 2階以上の場合にはエレベーター設置(医療機関の必須条件)
⑥ 内装工事に関する施工業者と詳細な打ち合わせ
駐車場の完備は医療機関の絶対的な条件⇒最初の段階で計画に入れるべき設備
① 戸建開業の場合は駐車場のスペースをできる限り広く取る
収容台数と入り口確保、駐車不便の解消
② 商業施設内のビルテナント
最低10台~15台程度は駐車できるスペース
スペースのゆとり、白線と白線の間を広く取るなどの配慮
③ 駐輪場
あらかじめ医院に併設する決められた位置に設ける
⇒無断駐輪などによる近隣住人とのトラブル防止
競合相手が存在しなければ、その地域住民すべてが患者になる可能性が高いですが、現実には医院同士の競争があるため、患者吸引率に差が生じます。開業地選定に当たってはこの競争原理を認識し、有利に働く診療圏を選定します。ただし競争によって『勝ち負けが決まる』という考え方ではなく、競争があるがために、お互いが切磋琢磨し、患者により良いサービスを提供するなど、自院の吸引力が向上するよう努力することです。
場所の力・競合相手の力・開業医師の力などを総合した患者吸引力を高め、結果的には勝てるステージで勝負をすべきでしょう。
① 人口密度が高く、潜在患者数が多い場所
② 交通機関等、通院に便利な場所
③ 駐車場スペースが充分取れる場所
④ 院外調剤が出店できるスペースもある場所
立地選定上の潜在患者の有無を確認する調査が「診療圏調査」です。
ただし、これはあくまで参考資料として捉えるべきで、実数値ではありませんので誤解のないようにしてください。
■ 開業時における収益確保の指標
開業時の推計来院患者数がどの位になるかという見込み値からみた採算性の分析手法
■ 資金調達の理論武装
金融機関との融資交渉における事業計画作成上の重要な裏づけ資料、計画立案の土台
■ 4つのプロセス
【プロセス1】 診療圏のマップを作成
【プロセス2】 選択する診療科目の受療率を設定
【プロセス3】 設定した診療圏内の人口の把握
【プロセス4】 潜在患者数の算定(上記ファクターの集計作業)